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詩:「アフターセカイノオワリ」
何の変哲もない二人は、一つの机を挟んで寝転んでいる
その体勢は、屋根の下なのにまるで星を視ているみたいだ
だが、あれは何?ああ、そういえばそんな風に視えるかもしれない
知ってる、あれはオリオン座でしょ?それしか知らないんだけど
そんな会話が聞こえてくることはない
ベクトルは光となってどこまでも屈折する
何の理由かもわからない壁が二人を翻弄し別れさせる
それでもここにいるということを
最後に二人が残ったということを
どうか忘れないでほしい
どうか忘れないでほしい。
部屋に投げ出された何かのコントローラーはやがて大地の肥やしとなる
明日にも大樹の子供が、さっそく人間を見下し始めるだろう
二人はある時から背が伸びなくなった
わからない言葉が分かるようになっても、頭の中に立体をイメージして
応用問題が解けるようになっても
本棚の一番上にある文字が見えるようになった時でさえも
背が伸びたとは思えなくなった
波紋がだんだんと薄くなるように
隕石がその体を削るように
街から友人たちは消えて行ってしまった
性格には、視えないようになってしまった
こうして二人がこの部屋に残っている
その理由がわからないから、二人は眼を合わすことが出来なかった
もしこれが悪魔的な誰かのゲームだったとしたら
最後の一人を選ぶクライマックスなんだろう
しかし二人は成す術を持たない
机の上のポテトチップスも、どこか寂し気なM-ONも、魔法の言葉「OK、Google!」も
何も二人を突き動かすことは出来ないのだ
ベクトルは光となってどこまでも屈折する
何の理由かもわからない壁が二人を翻弄し別れさせる
それでもここにいるということを
最後に二人が残ったということを
どうか忘れないでほしい
どうか忘れないでほしい。
この世界がもう二度と朝を迎えないことを知ると
二人はいったい、どうするだろうか
読んでくださりありがとうございました。