【詩】あまたまあまあ
深夜、眼が醒めて溜息をつく
クリアファイルには明朝体の隊列
僕は、知らない映画に揺られて
視界の外では魔法が滅びた
生きていない時間を歩くと
違う自分がいるみたいだと
今だってオリオン座を見つけて
ベッドタウンの霞を忘れた
世界は広いのではなくて
余りにも沢山あるのだ
だから全ては回れない
君は諦めて嗤う
そうだ、僕は僕でないのなら
出来ないことをしたって笑えないだろう
今は、全て許されたような気が
しない昨日を剥がして棄てた
解らないけど晴れていない闇
違う闇ではなく見辛いだけだと
触れてきた雨粒の数だけ
誰と誰かの感情が動いた
世界は広いのではなくて
余りにも沢山あるのだ
君の呼吸に忍び込むと
指先がビリビリ叫びだす
世界は無限ではなくて
僕らが有限過ぎたのだ
だから全ては回れない
君は諦めて嗤う
背の順になった本棚
虚空に消えた『見付けた』
最後になっちゃった高価な
誰かの泪は何カラット
触れてきた雨粒の数だけ
誰と誰かの感情が動いた
世界は広いのではなくて
余りにも沢山あるのだ
だから全ては回れない
君は諦めて嗤う
さよならを言えば終わるだろう
光を落とせば消えるだろう
数多の言葉を繋いで
僕は醜く活きている
おわり