Yuigo・ん・・・湿っぽい

モルック、システムエンジニア、その他趣味。大学生のころから使っているので、昔の記事は恥ずかしいし今の思想とは異なっていることが多いです。

モルックの普及や発展を称える賞の存在は必要なのか

全国のモルックファンの皆さん、おはようございます。haruspringです。

改めまして簡単に自己紹介をしますと、僕は2019年からモルックを始め、ちょこちょこ大会に出たり、youtubeに試合動画をあげたり、リーグを運営したりイベント情報を集めたりしています。

今日はどういう話かと言うと、タイトルの通り、モルックの普及・発展・活動を称える「賞」の存在は必要なのか、というテーマです。賞というのは、アカデミー賞やベストジーニスト賞みたいな感じの「選ばれる」タイプの賞ですね。トーナメントを勝ち抜いてもらえるのとは異なります。

結論からいうと、僕は賞は不要だと考えています。その理由を、きっかけになった出来事に沿って書いていきます。

おことわり

こういう記事を書くと最近「ネガティブなことはやめよう」という意見を直接的または間接的にもらうことがありますが、僕としてはポジティブな気持ちでやっていることを理解してください。僕はモルックが普及してほしいと思っていますし、活動をしている方を労いたい気持ちは同じです。じゃなきゃとっくに別の趣味に移行してます。

ネガティブという単語を使えば牽制が出来ると思っているかもしれませんが、その多くは「自分の気に入らないこと、自分の考えとは異なることをとにかくすべて『ネガティブ』という箱に突っ込む」考え方から来ているのではないでしょうか。むしろ問題に触れず何もなかったかのように振る舞う姿勢がネガティブにあたる(全部が全部そうではないけれど)のです。

経緯

2023年12月、ユニバーサルモルック協会という団体を作って活動している山口さんという方が、SNS上で「勝手にモルックアワード」というものを制定し、同時にノミネートされた団体を紹介していました。

投稿によると、選考基準は

  • 老若男女問わず、モルックの楽しさを広める活動を精力的に行っている。
  • 初心者・経験者問わず、大会・練習会・体験会等各種イベントを開催し、モルック界の盛り上げに貢献している。
  • 各地で行われているモルック大会(規模の大小に問わず)にて好成績を収めている。
  • とにかくモルックを楽しんでいる。
  • とにかくモルックが好き

であり、選考方法は、

  • 上記選考基準を総合的に鑑み、勝手に大賞候補を選出、その中から皆様の投票を基にモルックアワード大賞を決定いたします。

として、この時点で8つの団体をノミネートしていました。

さらに、この中から対象候補として、4つの団体を理由とともに紹介していました。

そのうえで、対象候補となった4団体のいずれが大賞に相応しいかを、Twitterのアンケート機能を用いて行うとして、アンケートを開始していました。

僕は個人的にこれに対して疑問を感じたため、大賞やノミネートに限らず、貢献した、偉い!と思ったひとを何人でも、とにかく沢山称え合おう!ということで募り、皆様の投稿を「全国モルックカレンダーニュース」のブログにて公開するという「対案」を出しました。協力頂いた方には感謝しています。

molkkycalendar.hatenablog.jp

なぜ疑問に思ったのか

上記の投稿を見た時点で、僕としては疑問を持つようになりました。最初は直感的になんかおかしくないか?という曖昧な疑問だったのが、徐々に整理でき、だいたい以下のような理由になりました。

  • 選考基準に当てはまっているがノミネートとして名前が上がっていない団体もしくは個人がいるのではないか
  • リサーチの方法が不透明で、主観でのみ行っているのではないか
  • 最後まで独断で大賞を決めるのなら良いが、最後の最後はアンケートで一貫性がない
  • 賞という存在がそもそも必要なのか
  • 「勝手に」というワードで逃げ道を作っているように見えた

以下はそれぞれを具体的に説明してみます。

選考基準に当てはまっているがノミネートとして名前が上がっていない団体もしくは個人がいるのではないか

選考基準を読んで、(それぞれのAND条件なのかOR条件なのかが分からなかったんですが)他にもこれに当てはまってもいいのでは?という団体や個人の方々はパッと浮かんできました。

僕が主観的に把握している範囲でも毎月のように少人数での大会を運営している方は複数知っていて、初心者向けの大会を開催して「初めての大会」として最適な場所を提供している団体さんも存在しています。なんなら「とにかくモルックが好き」ということであれば、みなさんもいくらでも浮かび上がるのではないかと思います。その「好き」が表面上にどう現れているか=どんな活動をしているか、それが目立つものか地道なものか、という違いはありますが、その選考基準であればやっぱり多くの方が該当すると思いました。

「総合的に鑑み」という書き方をしていますが、このような基準を書いた以上、名前が上がっているところとそうでないところで、何の差があったのか、という感想になるのは自然なことです。

そもそもこの中に「日本モルック協会」がないのが不自然です。山口さんは日本モルック協会(JMA)ではないところで活動しているので、「自分の団体は対象外」という暗黙のルールを設けていても、JMAはそれに該当しないのでノミネートされていないというのは意図を感じてしまいます。

JMAはモルック普及活動の中心として間違いなく存在しており、人口が増える中でユーザーから出てくる疑問や不満が集まる対象にどうしてもなってしまいますが、モルック発展という目標に向かって尽力していることは間違いありません。ノミネートされた団体と比較してなぜその名前がないのか?という疑問に繋がります。

実際に疑問の声を投稿した方もいらっしゃいました。

れーな@むちこのお店 @muchiko_reina · 12月16日 🙇個人的な意見です🙇

福井県で年間40回以上体験会やイベントでモルックを教え、9月10月の土日は全て埋まって大会には出れず、 選んだのは私ですがそれでもこれを見た時は辛く苦しかったです。 「勝手に」ですが、褒めて欲しい訳じゃないんですが、もう少し全体を見ていただきたかったです🙇

リサーチの方法が不透明で、主観でのみ行っているのではないか

上の話と関連するのですが、このように上がっている名前とそうでない名前というのが存在し、なぜそういったチグハグさが生まれてしまったのかというのを推測すると、おそらくリサーチが足りていなかったからではないか、という考えに至ります。

リサーチをどのようにやったのかは不明ですが、結果として疑問の声や、僕の方で募ったアンケートには異なる団体や個人の名前が上がっています。

「日本各地」と銘打った以上は、(100%は難しいですが)地方の情報を妥協なく集め、そのすべてを検討の場にあげるといったプロセスが必要になります。そのうえで絞られた名前であれば、多少の納得感が生まれます。

ですが、「思いつきで始めた」と書いてあるので、入念な検討というほど精査されているのかはどうしても怪しくなってしまいます。

最後まで独断で大賞を決めるのなら良いが、最後の最後はアンケートで一貫性がない

「勝手に」「思いつき」と言っているので、まあ上記のリサーチ不足は仕方がないのかな、という認識ですが、この点も疑問に感じました。

4団体のノミネートまでは独断で行っているのですが、最後の大賞についてはTwitterのアンケートで決めるとしていたことです。最後まで独断であれば「まあ個人が勝手にやっていることだし」ということになるのですが、アンケートにしたことによって「民意によって決められた」という意味があるものになります。

そうなると、そもそもノミネートまで名前が挙がらなかった方々についても、アンケートや自薦・他薦で募ったほうが選考の一貫性があるのでは?という疑問に繋がります。アンケートによってそれらしくなることで、名前が挙がらなかった方々の「複雑な思い」がより大きなものに膨れ上がってしまうのではないでしょうか。

「勝手に」というワードで逃げ道を作っているように見えた

ここまで書いたように疑問点がいくつかあるのですが、「勝手に」という枕詞は、もしそれを言われた場合に「いや、勝手にやってることだから」という回避のために付け加えられた言葉のように思えます。

モルックはせいぜいマイナースポーツの狭い界隈なので、小さな村の話でしかないのですが、相対的に考えればその中でも山口さんは有名人にあたります。数年前からモルックをしている人からすれば、ブームの火付け役になったお笑いコンビ・さらば青春の光の森田さん率いる「キングオブモルック」に経験者の助っ人として加わり世界大会に参加、その他にも(近年はあまり積極的ではないようですが)複数の大会優勝経歴を持ち、近年はユニバーサルモルック協会として独自の活動を展開している存在であり、認知している人も少なくないのかなと思います。

なので、そんな山口さんが制定する賞であれば、たとえ「勝手に」であってもそれなりの意味を持ち、「名前があがった・あがらなかった」という差を、当事者はそれぞれ受け止めなければならないということであり、一言でいえば影響力があるということになります。

だからこそ、賞をやるのであれば「勝手に」という逃げ道を作らず、「思いつき」であってもそれなりに説得力のある事前のリサーチや選考過程の説明をしていく必要があったのではないでしょうか。

molkkycalendar.hatenablog.jp

山口順/UMAJ代表/楽しく モルック する人/世界初プロモルッカー @rentalmolkky 勘違いしてほしくないのがただ多いとか大きい強いとか、そんなので優劣決めたくてやったんでは無いよって

自分の狭い見識を広めるためでもあり、注目することで色んな人に活動を知ってもらうきっかけになったり

モルッカーだけにじゃなくて。世間一般へのアピール

そこから楽しいことしようとしてる

山口さんはその後上記のように説明しています。

ですが、賞というもので名前をあげる・あげないの判断をした時点で優劣というのは結果的に発生しています。そうしたくなくても生まれてしまったのです。

「狭い見識」であればやはりリサーチ不足だし、自薦・他薦を募って補足していくべきでした。「活動を知って」もらえなかった人は複雑な思いを抱いています。ちょっと厳しいんですがTwitterに書いたくらいで「世間一般」に届くのでしょうか(他にどうしろっていうと難しいんですけど)。認識のズレを受け取り側の「勘違い」に押し込むとなると、これらの意図を読み取るのは難しくなってしまいます。

なんならTwitterを利用していないモルックユーザーには届いていないのではないでしょうか。

山口順/UMAJ代表/楽しく モルック する人/世界初プロモルッカー @rentalmolkky 平さんほどでは無いと思いますよ

大きさは

リプ欄でこういう投稿を見てしまうと、賞というもっともらしさから自ら離れていこうとしているように見えます。

山口順/UMAJ代表/楽しく モルック する人/世界初プロモルッカー @rentalmolkky 勝手にモルックアワード 賛否両論いろんなご意見ありますが今年はこれでいかせてもらえたらー

投票は今週金曜日いっぱい(多分)

よろしくお願いいたします!

「賛否両論」と言っていますが、それは色々と手を尽くしてそれでも意見が分かれるときの言葉じゃないでしょうか。

山口順/UMAJ代表/楽しく モルック する人/世界初プロモルッカー @rentalmolkky 全体が見れてないのはご指摘の通りです。すいませんです。 候補にしたかったのはそちらの団体含め他にも沢山ありました。

もし来年もアワード制定ができるなら、全国的に意見を聞いたり選考委員を設けるとか部門を増やすとかやれたらなと考えています。

ご意見ありがとうございました

であればリプ大賞の団体さんの名前をあげていないのはどういう理由があるのでしょうか。とりあえず思いつく限りの団体・個人の名前を記載しようとは思わなかったのでしょうか。

そしてこうした問題点・改善点が浮かび上がっていて、その整理や対策ができていない時点で「来年も」と言うのは順番が入れ替わっていると思います。

武庫川モルックマメシーバ @mukogawa_molkky · 12月20日 この企画がはじまる発端になった世界の山さん 賛否両論になる事は絶対に山さんならわかってたはず。それでも始めたのはharuspringさんみたいな方がこう動いてくれると信じてたはず 実際に動いてくれたハルさんに脱帽です

常に賛否両論ある事を考えて行動に移す山さんはモルック界に必要不可欠な存在

個人の感想になってしまうのですが、「賛否両論になることを分かっていた」のかについては、ここまでに書いた通り論点があります。「動いてくれると信じていた」についても同様で、僕としては予め用意されていたストーリーに操られて今このブログを書いているみたいに言われているのでけっこう複雑です。僕は複雑な思いを持っていた方が報われるべきだと思ってやっているだけです。

「賛否両論ある事を考えて」いるのであれば、賛否両論になる前にもうちょっと準備してから外に出していくステップを設ければ、そもそも賛否両論にならずに済むと思います。

僕からの意見はだいたい以上で、何がどのように問題であるのかを認識してもらったうえで、自慢の行動力を生かしてまた色々と企画していただければと思います。

賞という存在がそもそも必要なのか

ここまでは今回の山口さんの投稿に対する意見でしたが、そもそも賞という存在が必要なのかをあらためて考えたいと思います。

賞をつくるからには、そこにある程度の説得力がないといけません。どこの誰かも分からない、その業界での実績がないと別にもらっても嬉しくない賞になります。

僕は賞を設けて選考するプロセスに詳しいわけでもなんでもありませんが、代替以下の要素は必要になってくると思います。

  • 誰が授与するのか(説得力のある人を立てる)
  • 誰が条件をクリアしているか(明確で漏れのないリサーチ方法)
  • どう絞り込むのか(明確で異なる人同士でも結論が一致するような基準、場合によっては部門を分けてわかりやすくする)
  • どう一人に決めるのか(最終的な該当者をアンケートで決めるのか、説得力のある選考委員に任せるのか)

こうした要素を満たしていることで、賞として説得力があり、もらって嬉しい、他のひともあの人がもらうなら、という納得をすることが出来るようになります。更に、賞を毎年毎月と継続していくことで、「格」が生まれるようになって更に説得力が増していくようになる、というのが大体のシステムです。

では、「モルックの普及に関する賞を設ける」に関してこうした要素を満たすことができるかというと、僕個人の意見では不可能だと考えています。その最も大きな理由が「誰が授与するのか」を満たせないからです。

国内のモルックに関していうと、先程書いた通りモルック界自体は「小さな村」なのですが、その中で相対的に有名な人は何名か存在しています。ですが、その誰もが、客観的にいえば「誰もが知るスター的な存在」とまではいかないのが現実です。モルックを競技的にガチっている人であればよく知っている人でも、初めて大会に参加するとか、大会は興味無いけど楽しく遊んでいるという人にとっては単なる知らない人でしかありません。現状では、野球で言う王貞治や、サッカーで言う釜本邦茂のような「実績のあるレジェンド」は存在しません。かといって、現役選手が授与する側になっても不自然になってしまいます。

一番近いのがJMAの会長である八ツ賀さんですが、勿論モルック界における功労者であることは間違いありませんが、あまりメディアに積極的に顔を出しているタイプではないため、やはり圧倒的な(モルック界における)知名度にはあたらないという判断になります。また、モルックユーザー同士が互いの距離感が近いので、「身内で賞を回している」感を拭えないのが現実です。

上記の理由で、別に賞はなくてもいいのでは、と考えています。名前が挙がらなかった人々のモチベーションを削いで、むしろ普及のスピードにブレーキを書けるような影響を与えてしまうよりは、別に無い方が圧倒的にマシです。

それでももしも賞をやりたい!というのであれば、例えば「本屋大賞」のような形式で行えばよいと思います。

www.hontai.or.jp

本屋大賞というのはその名の通り全国の本屋さん(書店員)が投票によって決める賞であり、権威のある選考委員を設けるのではなく、投票のみで決定するという点が特徴です。他の文学賞とは異なり、比較的一般の読者の目線に近く、選ばれた作品が「読んで間違いない」ものである可能性が高いため人気があります。

この形式であれば「誰が授与するのか」で立ちはだかる問題をクリアすることができるため、今回のケースには望ましいと思います。

これをベースに、SNSだけではなく多くのユーザーに賞の存在を認知してもらう、ノミネートされた団体・個人の活動を定量的に評価して紹介する、投票についても幅広く募るために複数の媒体を用意する、1票以上あった団体・個人はすべて紹介する、などといった工夫をしていくことでより説得力があり選ばれなかった人も納得できるようになると思います。

あくまでも「やるのであれば」なので、やはり僕個人としては別に必要ないんじゃないかなというのが、最初に書いた通りの結論です。