Yuigo・ん・・・湿っぽい

モルック、システムエンジニア、その他趣味。大学生のころから使っているので、昔の記事は恥ずかしいし今の思想とは異なっていることが多いです。

モルック世界大会の国別代表選考制度に関する課題についてもう1回整理する

2023/04/18 追記

4/17に勢いでこの記事を書いたのですが、その直後にJMAからリリースがありました。

molkky.jp

簡単に言うと、JMAは2024年函館で開催される世界大会においてもネーション代表の選考制度を変えずに継続することを決めました。

僕は、JMAは「金と時間に余裕のあるヤツしか代表にはなれない」という姿勢を継続した、と受け止めています。まあフィンランドやフランスなど、そもそも海外への渡航費がかかる場合なら「そもそも貧乏人は海外に行けないし関係ないか」となるのですが、来年は国内での世界大会開催なので、そこらへんの金銭的余裕がない有力な選手や、学生でめちゃくちゃ上手い選手にもチャンスがありそうな気がしていたのですが、公式的にそういった選手を拾い上げる可能性を排除してしまいました。制度をちょっと改善するだけで、より実力主義で選考を進めることができたのに、これは大変残念なことです。

「誰でも日本代表になれる」という日本モルック界が抱えていたフレーズは、こんな形で消滅してしまったのです(もちろん選考をすること自体は否定しませんが、せめて健全な形で運用してほしかった)。

さらに対象の大会一覧を見てみると、地域性にかなりの偏りがあります。

https://molkky.jp/cms/wp-content/uploads/2023/04/b5f2c5790434717131b0c9adde39dbbd.pdf

愛媛で2大会あったり、東北で3大会あったり、関西は0大会だったり、函館開催だけど北海道も0大会だったりとバランスが悪いです。大会を作って準備をしている公認団体の方々は(与えられた権利を行使しているだけなので)何も悪くないのですが、そのバランスを取るべき立場が責任を放棄したと考えてよいでしょう。

しかも、この記事で色々書いている個人・チームのポイント配分の課題や、以前書いていた1セットだけ出てポイントをこっそりいただくような手法について、何も対応がありませんし、今回も同じように代表になりたい意思や予定にかかわらずポイントを強制的に投げつけるシステムもまったく変わりがありません。

終了です。楽しく競技モルックに励みたい方々は、この制度のことを記憶から抹消した方が健康になれると思います。

時間の無駄でした。


全国のモルックファンの皆さん、おはようございます。haruspringこと貝塚です。

モルック試合動画のストックを消化できたので、最近Twitterにちょこちょこ書きっぱなしにしていたタイトルの件について書いておきます。

はじめに

今回は以下の流れで書こうと思います。

  • 国別代表戦についての個人的な見解
  • 国別代表選考制度をどうすべきかの提案
  • 現状の制度についての課題

とはいっても、ほとんどの内容は以下の過去エントリに書いてしまっているので、重複する内容も多いです。

m4usta13ng.hatenablog.com

では、なぜまた書き直すのかというと、この問題に関してはSNSで荒れる頻度も(モルック関連の話題において)特に高いのかなと思っているからです。

いろいろな方から批判的なコメントが出たり、それをなだめるようなコメント(とはいってもそれっぽいことを言っててその実何も言っていないようなのもある)が見受けられるのですが、具体的にどうすればいいのか、という提案に差し掛かるものはあまり見られず、残念に思ったからです。

文句を言うのは自由で、さらに提案もする必要はないのですが、文句を言うだけだと現状は変わらないのかなと思います。労力や課題を整理する大変さはありますが、提案まで踏み込まないと現状を動かす、というフェーズまでには至り得ません。

ということで、自分が率先して提案も含む記事を書こうと思いました。問題なのは、SNSのテキトーな内容よりも、比較的ちゃんと書いているブログの方が見てもらえないということなのですが…

国別代表戦についての個人的な見解

これも前に書いたのですが、基本的には変わりません。一言で言うと、

<国別代表戦はメインコンテンツではないので、現状そこまで躍起にならなくてもいいと思う>

です。

なぜ重要ではないのかというと、モルックの世界大会では複数日程でいくつかの大会があり、自分の知る限りでは、

  • 4人チームでの大会
  • 2人ペアでの大会
  • 国別対抗戦(3人~4人?)

が用意されています。もしかしたらソロの大会もあったかも。

で、一番大きな本番的大会は4人チームであり、この他の大会はある種ウォーミングアップ的に取り扱われています。あくまで現状ですが。

さらに言うと、4人チームのメイン大会は2日間かけておこなわれ、他の大会は1日で終わる日程であり、明らかに4人チームが重要視されていることがわかります。チーム数も、国別対抗戦は十数チームであるのに対し、4人チームは数百ものなかからトップを決めることになります。

そのため、代表選考は、サブコンテンツの比較的小さな大会に出ることができる権利を掛けて実施されているものであり、SNSで荒れているほどインパクトは無いんじゃないかなと思います。

とはいっても、これは僕の個人的な感覚です。「日本代表」という響きが好きだったり、サッカーのワールドカップや野球のWBC、オリンピックなどのナショナルチームとして参加する大会を観るのが好きな人にとっては引きのあるコンテンツかもしれません。一方僕は、どちらかというと普段のクラブチームとしての戦い、Jリーグプロ野球などのほうが好みで、合間合間に集まって結成するナショナルチームに対してはそこまで惹かれるものがない、という感覚があるので、こういう意見になるのだと思います。

そういえば、関係ないんですが、現状の代表選考制度(JMAポイントレース)で日本国籍を持たない選手が上位に入った場合は代表になれるのでしょうか?多分(どこにも書いてないので)大丈夫なんだとは思いますけど。日本代表ってよりはJMA代表って感じなのかなと認識しています。

国別代表選考制度をどうすべきかの提案

上記でそんなに重要じゃないと書いてしまっているのですが、だからといって制度を改善しない理由にはなりません。現状のポイントレース制度は健全ではないからです。そこで、僕が思う制度について書きます。一言でいうと、

<世界大会に参加する、かつ代表を希望する選手のみで事前に選考大会を実施して決める>

です。

これは色んな方法がある中で、最もシンプルな方法だと思います。もう少し具体的に書くと、世界大会に参加する、かつ代表の試合にも出たい、という人だけが、(今年だったらフィンランドのヒュビンカーに1日前のりして)1日限定の選考大会を行います。そこで上位3人に入った選手が代表、というルールです。選考大会のルールとかは別途検討が必要ですが、これでいいと思います。

もちろんデメリットもあります。例えば「誰もが認める実力がある選手が、その人の調子によって落とされる」ということです。これはたしかにその通りで、突出した実力を持つ選手が代表戦に出られない、となったら多くのモルックファンは複雑な気持ちになると思います。一方で、選考大会は直前に行うので、1日やそこらで調子が戻るとは考えにくく、事前に不調の選手を落とすことができる、今最もノッている選手を選ぶことができる、という考え方もできます。

また、選考大会のための運営コストがかかるという問題もあり、これについては実際にやるとなったらちゃんと検討しないといけない点です。現地で場所を取れるのか、備品は足りるのかなどといった検討事項があり、実現のためにはこれらのハードルを超える必要があります。

僕がこの案を提示する理由は、シンプルで透明性も高い、という点に加え、「代表を希望している選手以外を巻き込んでいない」からです。この後説明しますが、現状のポイントレース制は、代表を希望していない人も巻き込んでおり、個人的には深刻な問題だと考えています。

現状の制度についての課題

それでは、現状のポイントレース制について、あらためて課題を整理します。もしポイントレース制を来年度も継続するのであれば、日本のプレーヤーにとって関心が高い函館での世界大会開催となるので、次回レースが始まる今年の9月までには絶対に改善すべきです。

ちなみに、この制度はモルック人口が増える前から行われていた、「東京カップ」や「大阪カップ」のシステムと似通っており、おそらくこれらを流用したものだと思われます。これは月1回開催されるミニトーナメントの累計成績を総合成績として反映するもので、地域が東京や大阪に限定されていたために成立していた面があり、これが全国ということになると「参加する回数が多いほど有利」というシステムのデメリットがさらに強く出てしまうようになります。

代表を希望をしていない人を巻き込んでいる

先程書いた通り、個人的にはこれが問題として大きいです。

現状のポイントレース制は、JMA(日本モルック協会)の公式大会、およびJMAに申請して公認団体として認められている団体が開催する大会に対して、参加チーム数に応じて成績に比例したポイントを設定しています。そして、前回の世界大会終了~次の世界大会までに蓄積した合計ポイント上位3名(世界大会のルールによって人数は変わる)が代表として出場する権利を得ることになります。

このJMAポイントですが、成績上位に入ると、代表を希望する、そもそも世界大会に出る・出ないにかかわらず付与されます。そして、JMAのサイトに暫定順位が張り出されるのです。

例えば、代表に入りたいとなった人が、ある大会で上位にはいりポイントを獲得します。そして暫定10位に入ったとします。

代表に入るには上位3名にならなければ!と思い暫定表を確認すると、3位までの差は結構大きい。計算すると、少なくともどこかの大会で優勝、もしくは準優勝を2回取らないとほぼほぼ無理と判断します。そしてどの大会にでるか検討しますが、住んでいる場所からは離れた地方の大会しか残っていません。仕事も忙しく年に何度も旅行に行くような余裕があるわけでも無いですが、泣く泣く出場することにしました。

ですが出場した大会では思うような結果をのこせず、3位までに入ることはできませんでした。代表は無理か…と諦めていましたが、なんと、上位に入っていたライバルがそもそも世界大会に行く予定がなかったということで、自分に権利が回ってきたのです。ということは、無理して追加の大会に出場する必要がなかったのです…なんてことが起こってもおかしくありません。

そのため、暫定順位表に表示する選手は、代表の意思がある選手のみに絞り込む必要があると思います。現状では、どの大会でどれだけの成績を残せば良いのか、という戦略を練ることができません。(計算のために内部では全選手のポイントデータを管理する、というのはアリ)

JMAポイント=強さだと思いこむ人が発生する

JMAポイントを代表の希望有無に関わらず付与していることにより、「代表は希望していないけどポイントは欲しい」という本来の目的とは逸れた考えを持つ人が出てきています(ちょくちょくSNSで見る)。

確かにJMAポイントは大きい大会の成績が累積されたものなので、イコール強さ、となるのも多少理解はできます。ですが、大会は1日2日の調子で決まるものなので、そこまで躍起にならなくてもいいとは思います。ポイントが全選手に振り分けられているので、ギャンブルでいう射幸心?みたいなの?ここではなんて言うんですかね?そういったものに煽られてしまうのだと思います。

もし実力を証明したいのであれば、手前味噌ですがプライムリーグのような継続的なリーグ戦で試合数を積み上げ、リーグ平均の成績と比較した自分の数字を示せばよいと思います(全選手の個人成績を集計しているのは、僕の知る限りプライムリーグだけです)。

全選手の名前が公表されている

JMAポイントの暫定表は全選手の名前が公開されていて、ニックネームやハンドルネームといったものではなく、本名(一部の方は通名かも)で掲載されています。これは、多分掲載許可は(さすがに)取っているのだろうと思いますが、現代社会でむやみに本名を公開するのは再考した方がいいと思います。個人的にはやめてほCです(ポイント持ってないけどね)。

また、普段選手同士はニックネームやハンドルネーム、もしくは登録名といった形でやり取りしているので、実際この名前が誰のことなのかがわかりにくいので、併記する形にすべきだと思います。

公平でない

かなりの人が思っているだろうことですが、制度自体が公平性を欠いています。ある程度のアンバランスが発生するのは仕方ないですが、現状では問題が大きすぎるので改善すべきです。

個人戦とチーム戦の付与ポイントが同じ

現状ルールでは、個人戦でもチーム戦でも成績に応じたポイントは同じになっています。代表選考という観点で考えたら、100%成績に貢献している個人戦と、4分の1の貢献にとどまる4人チーム戦のポイントが等しいというのは公平感を損ねていると思います。個人戦で勝った選手にとっては非効率に感じる制度です。

少しでも出れば満額のポイントを貰えてしまう

現状ルールでは、チーム戦で出場した際、1セットにでも出場すれば満額のポイントがもらえるという制度です。なぜ満額にしたのか、という背景はわかりませんが、貢献度=出場セット数に応じたポイント配分にしないと実力を反映したものとは言えません。また、前回の記事に書いた通りの裏道も使えます。

例えば、もう少しで代表になれそうだけど怪我をしてしまった選手Aがいるとして、なんとかポイントを得るためにB、C、Dと組んで1セットだけ出場しあとは休み、優勝したとしてもポイントを獲得することはできます。現状の制度にのっとった方法なので違反性はないですが、印象としてはモヤモヤが残ってしまいそうです。

開催される大会の地域によって不公平性が出る

ポイントの対象になる大会は全国各地で行われますが、完全にバランスよく振り分けるのは難しいです。各地方に1つずつ、としたとしても、出場チーム数が少なければポイントは減るし、公式でなく公認大会であればそれでもポイントは減少します。そのため完全に公平にする方法はありません。

JMAポイントを不正に稼ぐ方法

ちょっと逸れますが、例えば僕が自分の地元から代表を出したい、と考えたとします。そしたら地元に100個公認団体を作成して、それぞれが1個ずつ公認大会を作ります。これでポイント対象大会を100個作ることができます。

これですでに有利になりますが、大会当日は送り出したい選手が勝つように、当たった相手は意図的に負けるか、そもそも大会を棄権してもらいます。これで効率よく、他の地域に行かなくてもポイントを稼ぐことができます。そもそも参加者は架空で当日棄権したという体にして、抽選会も結果をいじってその棄権した架空の選手に当たったことにすれば何もしなくても上位に勝ち上がることができます。

まあこれは極端な例ですが、100個はいわずとも多めに同地域に多めに大会をつくることは制度を見る限り可能になっています。もし大会を申請する時点で協会からNGと言われたら、その理由が元々規定として明記されているか問い詰め、明瞭な回答がなかったらSNSで喚けば良いと思います。あくまで仮にやるならという話ですが、規定や規約は厳密に明記していない限り、その間を縫って裏道を作ろうという動きは防げません。

運営に問題がある公認団体の大会をポイント対象として認めるか

これもちょっと逸れちゃうんですが、最近色々と聞いているので書いておきます。

公認団体によっては、大会の運営に問題点がある可能性があります。たとえば過剰に参加費を集めてこれの使い道を公表していないとか、参加費を返却すると言いながら実際には何もしなかったりとか、賞金の配布を取りやめたとおもったら大量に商品を配り始めておそらく賞金のかわりにこれで誤魔化そうとしているんだろうなとか、赤字で運営していたりとか、JMAポイントを本来の使用目的ではないシード権の選定に使っていたりとか…など。たとえば。

こうした感じで運営に問題がある場合、そういった大会にポイントを付与しているということは、運営母体に対してJMAがお墨付きを与えているという認識をされかねないので、健全な運営をしていることを条件付ける必要があります。ちなみにこういう問題があった場合って、公認状態の一時停止とかペナルティとかってないんですかね?

その他細かい問題点

  • 同点の場合の優先基準が明記されていない
  • 大会別の成績内訳が記載されていない

おわりに

といった感じで書いてみました。ちょっと最後のほう疲れてしまったので満足度は低いですが、これで公開しちゃいます。

具体的な課題点は上に書いていますが、根本的な問題点は別に存在すると思っています。

それは、制度に関する背景やプロセスが見えてこない、ということです。今のところ、このルールにかぎらず、大会の発表やさまざまなリリースはみな突然降り掛かってくる印象です。

どんな制度になっても多少の批判や賛否が出ることは間違い無いのですが、それでも納得してもらわなければなりません。そのために必要なのは理由やどうしてこうしたのか、という過程、プロセスの共有だと思います。いろいろな選択肢がある中でこのルールにしたのであれば、それなりのポリシーやこうしたいという想いが決定者の中にあってアウトプットにつながっているはずです。そのポリシーを教えてもらえなければ、批判者は勝手に想像して叩き続けます。

モルック人口が約100万人とかいう記事もありましたが、<競技>モルックに限ればまだまだ狭い世界です。そこにいる人々は、自分たちに関わる制度について強い関心を持っているはずなので、制度設計プロセスを共有したり、意見を吸い上げるような座組を設ける必要があります。