Yuigo・ん・・・湿っぽい

モルック、システムエンジニア、その他趣味。大学生のころから使っているので、昔の記事は恥ずかしいし今の思想とは異なっていることが多いです。

モルック世界大会の国別代表選考制度に関する課題について整理する

おはようございます。

今回は、毎年夏にあるモルックの世界大会で行われる国別対抗戦の選手選考制度について書きたいと思います。モルックとはそもそもなにか?という話はスキップします。

結論

  • 国別対抗戦はメインコンテンツじゃないので、まだ問題はそこまで大きくない
  • だが段々と大きくなっているっぽいのでそろそろ対処すべき
  • 代表選考以外でポイントが使われているのは疑問、事前に公表すべき

国別対抗戦はまだそんなに重要じゃない

はじめに書いておきますが、現状、国別対抗戦はそこまで重要なコンテンツではありません。なので色々課題を書いていきますがまだ深刻な問題にはならないと思っています。

なぜ重要ではないのかというと、モルックの世界大会では複数日程でいくつかの大会があり、自分の知る限りでは、

  • 4人チームでの大会
  • 2人ペアでの大会
  • 国別対抗戦(3人~4人?)

が用意されています。もしかしたらソロの大会もあったかも。

で、一番大きな本番的大会は4人チームであり、この他の大会はある種ウォーミングアップ的に取り扱われています。あくまで現状ですが。

また、代表選考に漏れてしまい国別対抗戦に出れない、という場合でも、4人チーム、2人ペアの大会は特に条件なく出場することができます。(日本代表という扱いではないようですが)

という理由から、国別対抗戦に出れないことはそこまでダメージではありません。これを目指している人はいるかもしれませんが、大会のメインコンテンツには参加できます。

代表選考制度とは

では、代表選考の制度について説明します。モルック協会(JMA)の公式資料は以下からDLできます。

「ポイント制」を導入します – 一般社団法人 日本モルック協会

上のリンクにPDFの詳細資料もありますが、簡単にまとめると、

  • JMAの公式大会、公認大会での成績によりポイントを獲得できる
  • ポイントが高く、かつ国別対抗戦に出たい上位3名が代表として選考される

というものです。シンプルでわかりやすく、これ自体は良い制度だと思います。

では、それぞれの課題点について書いていきます。

ポイント対象大会が多く、大会に出場する余裕がない

2021-2022シーズンにおいてはそこまで多くなかったのですが、2022秋-2023夏シーズンになって対象の大会が増えてきたと思います。ランキング資料に載っている対象大会の一覧は、

  • 2022年7月:函館大会
  • 10月:日本大会
  • 11月:アジア大会
  • 12月:えひめ大会
  • 2023年1月:東京モルックチャンピオンシップ(開催地は静岡)
  • 3月:ドラゴンスキットルカップ(静岡)
  • 5月:ジャパンオープン(石川県金沢)

となっています。

ポイントの計算方法は単純に合計していく方法なので、もちろん出れば出るほど有利です。狙い撃ちで1位を取っていけば全て出る必要はなくなってくるかもしれませんが、ポイントの割り振りを見ると1位とそれ以外でそんなに点数が離れていない印象なので、やはり沢山大会に出たほうが良いのは間違いありません。(画像は以下リンク内にあるPDF資料より)

「ポイント制」を導入します – 一般社団法人 日本モルック協会

で、実際にほぼほぼ全ての大会に出ようとなると、お金と時間の余裕がある人に絞られてきてしまいます。ほぼ毎月のように対象大会があるので、毎月旅行に行けるくらいの経済的余裕、かつ前乗りする場合は仕事を休めるような余裕がないといけません。

殆ど全ての選手は仕事や学校などに行きながらプレーをしているため、この課題をクリアするのは厳しく、不満につながってしまうというわけです。

ポイント制度は「余裕のある人」しか相手にしていない?

そんなポイント制度ですが、僕個人の解釈としては、そもそもお金と時間の余裕のある人しか相手にしていないと思います。

そもそも世界大会に行くには、(2024年は日本ですが)フィンランドやフランスといったところに1週間前後滞在する必要があり、どう考えてもかなりのお金と時間を要します。

なので、世界大会に出るという時点でそういう余裕のある人しか対象にならないので、国内の選考制度もお金と時間を前提としたルールで構わないだろう、という姿勢なんだと思っています。

大会数も、国内各地の団体が公認大会を開催することで増えていき、より「余裕前提」の制度になっていくのではないかと思います。

ちなみに、Twitterで以下のような意見がありましたが、(確かに自分の出られる大会をつくることでチャンスは増えますが)すでにこれだけ対象大会がある状態で、自分の地域に1つ誘致したところで、この問題は根本的に改善しないと思います。(ちょっと挑発的なテキストはさておき)よく考えると「代表になるためには大会立ち上げと運営もしなさい」と解釈でき、モルックの実力とは話が離れてしまっています。

なんかいろいろなご意見が飛び交ってるけど… 地域性の意見については、ポイント付く公認大会開けばよくね?と思っちゃうんだよなー😅 その為の公認大会制度だし… ドコで開催しても同じ意見は出るからねー😿

こう書くと問題が重いように感じますが、前述の通り国別対抗戦は(現状)メインコンテンツではないので、まだ大丈夫ではあるかな、と思っています。

ただ、これから国別対抗戦の重要性が増してきて、メインコンテンツが入れ替わったりしたら問題になってしまいます。

改善案はあるか

では、仮に「誰もが国別代表を狙えるように改善していく」として、改善策はあるのでしょうか。ぱっと思いつく限りで書いていきます。

優勝とそれ以外のポイントに差をつける

上でも書きましたが、優勝と2位以下で獲得ポイントに大きな差があると、限られた回数しか出場できない人にもチャンスは生まれやすくなると思います。反対に、優勝はできないものの安定した成績を残せるような選手には痛いかもしれません。

各大会の優勝者のみに権利を与える

ポイントを前提とした制度はどうしたって不公平感は否めないので、各大会の優勝者のみにプレーオフ出場権を与え、その中で世界大会に出る人だけを集めてプレーオフで代表を決めるという考え方です。シンプルでわかりやすく、かつ沢山大会に出るメリットもすこし薄れます。デメリットは、わざわざプレーオフのために全国から1回集まらないといけない点です。そこに出られないとなってしまうと結局意味がなくなってしまいます。

協会が実績を見て選考する

そもそもポイントや大会とか考えず、世界大会に出る人から協会がこれまでの実績や最近の調子から選考するという方法です。曖昧ですが、サッカーや野球でも同じような考え方で選考をしているので、不可能ではないと思います。選考にあたりきちんと理由を説明することができれば、オーディエンスや関係者も納得してくれるのではないでしょうか。チームの得意分野やプレースタイルでバランスが取れる点もメリットです。ですが、うまく説明することができないと、仲がいいから選んだとか、あらぬ因縁をつけられて批判されてしまう可能性もあります。他の案もそうですが、100%の人を納得させることは不可能でしょう。

これらの改善案を採用するかミックスするなどして、より健全な方向に制度が向かってくれるとありがたいです。

ポイント制度が悪用される可能性

ここからは細かい話ですが、1つ制度の穴のようなものがあったので紹介します。これもPDF資料からです。

要は何かといいますと、チームを組んでも実際に出場しないとポイントは付与されないということで、また、全試合のうち1セット(ゲーム)でも出場すると獲得ポイントを(減らされることなく)もらえるというルールです。

まあ検討のうえで作られたルールであることは分かりますが、悪用はされてしまいそうです。例えば、もう少しで代表になれそうだけど怪我をしてしまった選手Aがいるとして、なんとかポイントを得るためにB、C、Dと組んで1セットだけ出場しあとは休み、優勝したとしてもポイントを獲得することはできます。現状の制度にのっとった方法なので違反性はないですが、印象としてはモヤモヤが残ってしまいそうです。

悪用はいつかされる

よく「モルック好きに悪い人はいない」という(なんの根拠もない)言い方をされていて、たしかに悪用するような選手はいないように見えますが、人間窮地に立たされたときに何をするかは分かりません。ルール周り全般に言えることですが、問題になってしまい当事者が攻撃されてしまう前に、制度としてそれができないように設計しておくべきだと思います。また、これから競技人口が増えていくことで、ルールの穴をつこうとする人が現れるかもしれません。

改善案としては、獲得したポイントに対して実際にプレーしたセットの割合で換算するという方法です。例えば全10セット戦って優勝し100ポイントを獲得した場合、1セットしか出ていないA選手には10%の10ポイントのみが付与されるという仕組みです。これでもかなりA選手には「オイシイ」制度のままなので、追加で「50%以上の出場でのみポイントが与えられる」などのラインを引いてもいいと思います。

個人戦もポイント対象にすべきか?

また、このポイント配分は(PDF資料上では)1人で出た大会でも4人の大会でも変わらないようなので、そこも気になるところではあります。これに関しては、国別対抗戦が3人以上のチーム戦なので、同じく3人チーム以上の大会のみを対象にするという方針で良いと思います。

もしくは、1人で優勝しても50点、4人で優勝しても50点というのは投擲回数とのバランスがおかしくなっているので、そこを揃えるような形にするのもアリです。

ポイントが代表選考以外の方法で用いられている

代表選考に関する課題はここまでですが、ポイントについてまだ言及すべきことがあります。それが、ポイントが代表選考以外の目的で利用されているということです。

大会のシードとしての利用

実際に利用されていたのが2023年1月に行われた「東京モルックチャンピオンシップ」です。僕は出場しなかったのですが、この大会のシード制度にポイントの有無が利用されていました。以下は公開されていたスケジュール資料に記載されていた内容です。

「ポイントが高い≒実力がある」はまあ否定しないので、意図としては理解できます。問題点はポイント制が公開された時点で、「国内大会へのシードにも利用するよ」とアナウンスされていなかったことです。世界大会に行くつもりのない人には関係のないものと思われていた制度が、実は関係あったということになってしまいました。

僕の意見は一言で「事前にアナウンスをしてほしい」ということです。アナウンスが無いと、「もしかすると協会に近い関係者はもともと知っていたのでは?」など変な憶測が生まれてしまい、大会運営や協会への信頼にもつながってしまう可能性があります。

前年度のポイントをシードに採用?

また、このシードルールには、以下の記載があります。

本大会では、前年度の公式・公認大会に意欲的に参加し、今年度も国別対抗戦枠を目指されている方へのご配慮のため

とあり、前年度(今回は2021-2022シーズン)のポイントをシードの根拠にしています。

気になるのが「配慮」という単語で、僕としては配慮なんて要らないだろう、と考えています。

元々ポイント制度は「世界大会までの1年間で優秀だった人」を採用するための制度だと解釈しているので、このような「配慮」があることによって「世界大会までの1年間」にかぎらず、それよりも更に1年前までもが間接的に選考の対象期間になってしまっています。そういうスポーツや競技って他にあったっけ?というのは疑問です。「ロンドン~リオ間のオリンピック選考で優秀だったので、次の東京オリンピックの選考が有利になります!」と言っているのに近いと思いますが、あれば教えて欲しいです。

モルックは競技人口がどんどん増えている競技なので、「今年から代表を目指す」という人も結構多いと思いますし、競技の歴史が浅いので数ヶ月で急激に成長する選手も少なくありません。こうした背景に対してこういった「ご配慮」があると、台頭した新勢力が代表に選ばれにくくなるのではと思います。

大会にシードを設けるには

大会を開くに当たりシードを設け、強豪同士が潰し合わないようにする意図はとても理解でき、工夫されていると思います。では具体的にどのようにシードを設定するかというと、「前年同大会の成績を参考にする(第1回はあきらめる)」というのが妥当かなと思います。これならそこまで文句は言われないと思います。とにかく代表選考に関連する大会でのシード設計はそれこそ様々な立場の選手にたいして「配慮」が必要です。

また、東京モルックチャンピオンシップはペア大会なので、「前年からペアを変えた」選手に対しては、前年の成績が優秀だったとしてもシードの対象外にしたりシードの効果を大幅に減らすのが妥当かなと思います。

繰り返しますがシードの考え方自体は素晴らしく、大会を盛り上げるために工夫された制度だと思います。ですがそれを健全で公開され、なるべく平等な形で実現する必要があります。

大きくなっていくコミュニティが守るべきこと

モルックはそれまで小さなコミュニティだったために勢いや思いつきで通ってきた面もありますが、メディアに取り上げられ人口が増えてきた現状では、積極的な行動力と共に健全性が求められると思います。言い方を変えると、いつ炎上させたい層のターゲットになるかわからないので、堂々としておける状態を保っておきましょう、というわけです。これは「モルック関東プライムリーグ」というリーグを立ち上げている僕自身も気をつけていくべきことです。

m4usta13ng.hatenablog.com

前回の記事含めて、僕は決して大会を台無しにしようとか頑張っている人を邪魔してやろうとかいう意図でこういう記事を書いているわけではないことを理解していただきたいです。こういった視点からチェックするのが自分の貢献の形だと思っています。

もし僕がミスをしたらすぐに謝りますのでよろしくお願いします。

感情論で討論しない

また、最近モルックに関するこういった制度設計や競技ルールに関してSNSなどで意見が投稿されることが増えてきました。ですが、一部は自らの感情や主観にまかせたものであり、理論的でなかったり理由や根拠、証跡などが明確でない意見はなかなか取り上げてもらうのが難しいと思います。僕も完璧にできているとは思っていませんが、なるべく「なぜなのか」「ソースはあるのか」「改善案はなにか」「良いところもある」「行動力は認める」などといったところをセットで出せるように努力しています。

また、Twitterなど短いテキストしか書けないSNSでは(スレッド化するなど方法はあれど)誤解のないよう丁寧に意見を書くのは難しくなりがちなので、面倒ですがnoteやブログといった長文が書けるサービスを利用するのも手です。反対にそもそも読まれなくなってしまうというデメリットはありますが…。

関東プライムリーグでの姿勢

モルック関東プライムリーグを運営するにあたり、僕の考え方は、

  • 運営は人格を持たない(制度というシステムとして動く)
  • 私情を挟まない
  • 意図や背景を公開する
  • 悪いことをしない
  • ミスったら謝る
  • 理想よりも60点くらいで完走することを目指す

といった感じです。どれも簡単そうでとても難しく、今までの自分には出来なかったことなのである種のチャレンジだと思っています。無事2023シーズンが回っていくことを祈りつつ終わりにします。